はじめに 福岡の一会社員Akky氏が購入したビデオデッキの再生不適合に端を発し、WWWに東芝側のクレーム応対ぶりを音声入りで公開した事件は、多くの人の注目を集め、マスコミをも巻き込む騒動に発展した。この事件は、インターネットというコミュニケーションの道具が普通の市民と大企業、マスメディアのこれまでの力関係を大きく変える可能性を持っていることをまざまざと示したものだ。 そのことは同時に、これまでの社会関係が前提としてきたルールのあり方も再検討せざるを得ないことを意味している。もちろんインターネットという新しい通信手段の特性やアクセス可能性の広がりから、ルールの見直しが必要な分野は多方面に及んでいるが、特に東芝クレーマー事件では、以下の三点が検討課題として浮上した。 (1)紛争の一方当事者が、自らの主張をインターネット、特にウェブを使って一般公開するという行動様式の是非、限界 (2)仮処分や訴