メノンの問いとソクラテスの問い 田中 享英 ■二つの問いの対立 対話篇『メノン』の冒頭は、プラトンの作品にしてはめずらしく唐突に、テッタリアか らの客人メノンの、 ソクラテスに対するつぎの問いから始まる。 「ソクラテス、 あなたはこ ういう問いに答えられますか。徳というものは教えることができるものか。それとも教え ることはできず、実践によって身につくものか。あるいはそのどちらでもなくて、ただ生 まれつきの素質によるものなのか。 あるいはなにか他の仕方でそなわるのか。 これに対し 」 てソクラテスは、メノンをちょっと冷やかした後で、答える。 「それどころかぼくは、そも そも徳それ自体を、いったい何であるか知らないのだ。だから徳についてはまったく無知 なわけで、そういう自分を恥ずかしく思っているのだ。というのも、何であるか(ティ・ エスティン)知らないものについて、それがどのようなものであ
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