知識は土地、エネルギーなどの通常の財とは大きく異なった性格を持っている。その1つは多数の企業・人が用途を制約されることもなく、同時に自由に使えることである。これを経済学の用語では「利用における『非競合性』がある」と言う。 新しい知識の利用の拡大にはコストがかからないので、その知識を活用した新たな製品、あるいは新たな生産プロセスなどの形で、知識の便益は広く世界に及ぶことになる。 また、知識自体の物理的な減耗もない。よって、一度生産された知識は、より優れた知識の登場などによって陳腐化しない限りは、永久に人類によって使われ続ける。 毎日3000万人以上の患者が服用する薬 こうした知識の1つの例を挙げよう。2008年、医学分野で国際的に高い栄誉である米国のアルバート・ラスカー医学研究賞(ラスカー賞)を、遠藤章・東京農工大学名誉教授が受賞した。 遠藤博士は、三共(当時)の研究員であった1971年から
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