この17日、日曜日。東京・吉祥寺で、「ろう者」と「聴者」が交流するクリスマス会があった。ひとりの30代ろう者が参加した。笑顔をふりまく彼の心の中は、苦しさでいっぱい。春から休職している。 ことのはじまりは、異動でやって来た新しい上司の一声だった。「これからは聞こえる人も聞こえない人も関係ない。自分のことは自分でするように」 彼は、職場でのコミュニケーションを筆談でしてきた。新しい上司の「お達し」で、筆談をお願いする雰囲気がなくなった。仕事がうまく進まなくなる。後輩が彼に言い放った。 「ぼくの仕事の量は10、あなたは2だ」 ◇ 彼は、聴者である両親の方針で、小中学生時代を聴者の学校で過ごした。中学時代はいじめられ、仲間はずれにされ。でも、両親は「がんばれ」と言った。聴者ばかりの社会に適応してほしい、という願いからだ。教師は「聴者の2倍努力しろ」と言った。 がんばれ、もっとがんばれ…
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