水田に鎮座するカマボコ形の物体は、「機動戦士ガンダム」に出てくるモビルスーツ「ザク」の頭部ではない。同じ兵器がらみでも、これは掩体(えんたい)という。太平洋戦争中、今の高知県南国市前浜地区に造られた。パイロット養成機関だった旧高知海軍航空隊(現・高知龍馬空港)の軍用機を敵機の攻撃から守る格納庫だった。 コンクリート製の7基が現存する。最も大きい4号掩体に登ってみた。幅42メートル、奥行き22メートル、高さ10メートル。外壁の曲面をよじのぼると、屋上には腰の高さまで草がぼうぼう生えている。大型の双発機が格納できる内部は、夏でもひんやり。ほかの6基はほぼ幅22メートル、奥行き12メートル、高さ5メートルの大きさ。写真は5号掩体だ。 『高知空港史』によると、ここには戦争中、コンクリートから木、竹、土製まで大小41基の掩体があった。 戦後、海軍から地元に返還されたが、解体に多額の費用がかかるため放