8月4日、ビル・クリントン元大統領が北朝鮮を電撃訪問した。滞在時間24時間足らずだったが、金正日総書記と面会、中朝国境で脱北者問題を取材中に拘束されたアジア系の米国人女性ジャーナリスト2人の解放に漕ぎ着けた。これにより米朝対話再開への機運が高まってきている。クリントン氏との会見で見せた金総書記の微笑にも、そのような期待があるように感じられる。 しかし、金総書記が核開発断念をエサに米国と交渉して、1994年の「枠組み合意」によるエネルギー支援や軽水炉の提供を得て、核保有国として認められようと計算しているとすれば、オバマ政権と米国の置かれた環境をよく理解していない、ということになる。 一方、クリントン氏訪朝で、ブッシュ政権後半の米朝対話の急速展開によって日本が「かやの外」に置かれた悪夢の再来を懸念する向きもあるだろう。もちろん、北朝鮮が核開発断念に積極的に動けば、オバマ政権はそれに対応する準備