■欧州揺さぶり 影響力保持狙う 欧州向けに天然ガスを供給する新パイプラインの敷設をめぐり、ロシアとEU(欧州連合)がそれぞれ推すルートの競合が激化している。EU側はロシアへの資源依存度を下げようとロシアを回避する供給経路を模索。これに対し、ロシアは欧州の一部の国を取り込む形で分断工作を進め、自国からのパイプライン新設によって欧州市場での影響力保持を狙う。どのパイプラインが実現するかは欧州とロシアの勢力図にも大きくかかわることになりそうだ。 ◆消費4割まかなう 訪露したイタリアのベルルスコーニ首相(左)と会談するプーチン首相。“EU公認・米国推薦”のナブッコ・パイプラインに対抗し、「南ルート」の実現を急ぐことで一致した=5月15日(AP) 欧露間にはソ連時代からウクライナを経由する天然ガスの大動脈があり、ロシアはEU消費量の約4割をまかなっている。欧州側がこれに加え、新設しようと
欧州連合(EU)は5日、ロシアとウクライナのエネルギー紛争の解決に向けて大きく動き出した。この問題はEU加盟国間のロシアおよびその周辺国に対する政策の違いを改めて露呈する恐れがある。 チェコ共和国のマルティン・ジーマン産業相率いるEUの使節団がウクライナ政府高官らと協議するために首都キエフに飛ぶ一方、6日にはEUの別の専門家チームがロシアの天然ガス独占企業ガスプロムの経営陣と話し合う予定になっていた。 欧州委員会の高官らによると、2006年初頭に起きた似たような紛争と異なり、今回のロシアとウクライナの衝突は欧州の産業界や一般消費者に対してエネルギー供給に関する重大な脅威を与えるものではないという。 「備蓄水準はかなり高い。だが、EUはロシア産ガスにとって大きな市場であるため、我々としては交渉のテーブルに着くよう両国に圧力をかけている」とある高官は話す。 試されるEU議長国チェコ
【モスクワ=佐藤貴生】トルコ政府は6日、ロシアが推進する南・中欧に向けの天然ガス輸送パイプライン「南ルート」の自国水域の通過を認め、建設に協力することでロシア政府と合意した。来年11月までに着工する見通し。ロシアが安定供給の障害とみなすウクライナを迂(う)回(かい)するルートが確立される見通しとなり、計画は一段と現実味を帯びてきた。 ロイター通信などによると、トルコの首都アンカラでロシアのプーチン首相と会談したエルドアン首相は、共同記者会見で「パイプライン建設のため、トルコの排他的経済水域でロシアが必要な調査をすることを許可した」と述べた。ロシアは見返りとして、トルコ中部を南北に結ぶ石油パイプラインの建設を支援するほか、トルコに現在よりも安価でガスを供給する意向を示した。 対露依存度を下げたい欧州は、ロシアを迂回するパイプライン「ナブッコ」の建設を目指している。トルコは7月、ナブッコの通過
2002年10月、オーストリアのウィーン国立歌劇場で、トルコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、オーストリアの欧州連合(EU)5カ国の代表は、ジュゼッペ・ヴェルディの「ナブッコ」というオペラを鑑賞していた。 ナブッコは4幕の長いオペラで、紀元前6世紀を舞台にしたロマンチックなストリーである。その世界に憧れたのだろうか。5カ国代表は、新たに建設しようとする天然ガスパイプラインに「ナブッコ」という名前をつけた。 ナブッコは、カスピ海沿岸の天然ガスを南欧へ供給する。トルコのエルズルムから南オーストリアの天然ガス中継地、バウムガルテン・アン・デル・マルチまでの3300キロメートルを結ぶ大パイプラインである。ロシアを迂回して、トルコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、オーストリアの5カ国を通過する。建設予算は約80億ユーロに達する。 欧州は消費する天然ガスの約40%をロシアへ依存している。ナブッ
[アンカラ 13日 ロイター] カスピ海周辺国の天然ガスをロシア領土を迂回して欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設をめぐり、パイプラインが国内を通過する欧州連合(EU)加盟国とトルコが13日、合意に達した。 ナブッコ・パイプラインの国内通過について合意文書に調印したのは、トルコ・ブルガリア・ルーマニア・ハンガリー・オーストリアの5カ国。建設費は79億ユーロ(109億9000万ドル)と見込まれている。 欧州委員会のバローゾ委員長は「このパイプラインは今や不可能ではなく不可避となった」と述べた。 イランからのガス供給については米国が強固に反対の立場をとっているものの、トルコのエルドアン首相はイランからのガス供給を望む姿勢を示し「状況が許せばナブッコにイランのガスが含まれることを望む」と述べた。 同パイプラインの実現可能性については、供給・資金面での調整が難航しているとして疑問視する声も上
[アンカラ 12日 ロイター] 米政府のカスピ海エネルギー問題特別アドバイザーのリチャード・モーニングスター氏は12日、米国主導で建設が計画されている、カスピ海周辺国の天然ガスをロシアの領土を迂回して欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」に、ロシアが天然ガスを供給することは可能だと述べた。 一方、イランの同パイプラインへの天然ガス供給には反対するとして、これまで米政府が示してきた立場を強調した。 トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアの各国は13日、ナブッコ・パイプラインの国内通過について、トルコの首都アンカラで合意文書に調印する予定。 ナブッコ・パイプラインの建設費は79億ユーロ(110億ドル)。ロシア産ガスへの依存からの脱却を狙う欧州連合(EU)は同パイプラインの建設を支持している。同パイプライン向けの天然ガス供給国の候補として、イラク、エジプト、イラン、アゼルバイジャ
欧州向けに天然ガスを供給する新パイプラインの敷設をめぐり、ロシアと欧州連合(EU)がそれぞれ推すルートの競合が激化している。EU側はロシアへの資源依存度を下げようとロシアを回避する供給経路を模索。これに対し、ロシアは欧州の一部の国を取り込む形で分断工作を進め、自国からのパイプライン新設によって欧州市場での影響力保持を狙う。どのパイプラインが実現するかは欧州とロシアの勢力図にも大きくかかわることになりそうだ。 ■消費4割まかなう 欧露間にはソ連時代からウクライナを経由する天然ガスの大動脈があり、ロシアはEU消費量の約4割をまかなっている。欧州側がこれに加え新設しようとしているのが、“EU公認・米国推薦”の「ナブッコ・パイプライン」だ。ロシアを迂(う)回(かい)して旧ソ連の中央アジアや中東諸国の天然ガスを南・中欧に輸送する経路を想定している。 近年はロシアとウクライナのガス価格交渉が頻繁にもつ
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