4日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市内の中心部で、漢族のデモ参加者を排除する警察部隊(ロイター=共同) 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、3日に漢族による数万人規模のデモが発生した新疆ウイグル自治区ウルムチ市で4日、再び1千人規模のデモが起き、武装警察部隊が催涙弾を使って鎮圧した。治安悪化の原因を政府とウイグル族に求める漢族の抗議行動は、10月1日の建国60周年を前に胡(こ)錦濤(きんとう)指導部が展開する民族団結キャンペーンの限界を露呈した。 デモのきっかけは、8月中旬からウルムチ市で多発していた注射針を使ったとみられる刺傷事件だ。新華社通信によると、公安当局は3日までに容疑者21人を拘束。ロイター通信が地元テレビの報道として伝えたところによると、被害者476人のうち433人が漢族だという。 7月5日のウルムチ暴動後の治安悪化に対する不満が、デモの引き金になったとの見方があ
中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市内で針を使ったとみられる刺傷事件が相次ぎ、地元住民によると、市中心部で3日、漢族住民ら数千人が抗議のデモを行った。自治区政府は2日、刺傷事件の容疑者15人を拘束したと発表したが、漢族住民は7月の暴動事件後、対立が深刻化しているウイグル族の行為とみて抗議したとみられる。 自治区政府によると、刺傷事件の被害者は漢族だけでなく、ウイグル族、回族など9の民族に上っているが、漢族住民は主に自分たちが狙われていると受け止めたもようだ。抗議行動は2日もあったが、3日は一段と大規模になった。 ウルムチ市内では7月5日にウイグル族による大規模な暴動が発生。当局の発表によると、197人が死亡、1600人以上が負傷した。警察の厳しい取り締まりで治安情勢は落ち着きを取り戻していたが、漢族とウイグル族の対立は深まり、緊張が続いていた。(共同)
【北京=野口東秀】中国の胡錦濤指導部は、新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた7月の暴動を受け、イスラム諸国や国境を接する周辺国との関係強化に乗り出す。ウイグル族と同じイスラム教を信仰する関係国を抱き込み、宗教的な連携を牽制(けんせい)する一方、経済関係の強化を図り、暴動の再発生時にも中国の対応に理解を得やすい外交環境をつくる狙いだ。 胡錦濤国家主席は今月中旬、アラブ首長国連邦・アブダビ首長国のムハンマド皇太子と北京で会談し、「(ウイグル暴動は)中国の内政問題だ。国家統一を守り、社会の安定に努力していることを支持する」との言質をとりつけた。 イスラム諸国では暴動後、「治安当局がウイグル族を鎮圧した」との反中感情が住民に広がり、今月初旬、アルジェリアでは中国人と住民が衝突し、中国系商店への略奪事件に発展。国際テロ組織アルカーイダ系組織が中国人への報復宣言をする事態となった。 これを受けて中国は、
中国の崔天凱駐日大使は27日、共同通信とNHKの共同取材に応じ、ウルムチ「7・5」事件の性質と真相、ラビア(世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長)本人およびその来日の政治的陰謀、中日関係などについて、詳しく見解を示した。 崔大使は「(たとえば1995年の東京の地下鉄サリン事件の主犯のように)日本の都市で深刻な暴力犯罪行為をはたらき、無辜の市民に多くの死傷者をもたらしたような人物を、他国が招待したとしたら、日本国民はどう感じるだろうか?この問題は、相手の身になって考えさえすれば、(中国側の心情が)すぐに理解できることだ。中国はラビアの来日活動に断固反対だ。すでに日本側当局に、明確に立場を表明している。ラビアが来日を謀る目的とは、日本で引き続き事実を歪曲し、その分裂の主張を広く宣伝すると同時に、中日関係に面倒を引き起こすことなのだ」と述べた。 崔大使はさらに「目下、中日両国は共同で戦略的互
オアシスの限られた水源をウイグル人は皆で助け合いながら守ってきた。ところが、この乾燥した大地で最近漢族が始めたのは、水を大量に使う本格農業だった。ウルムチ郊外のこの農耕地は、石油や希少金属以上に、中国で生きる現在のウイグル族の悲劇を象徴している。ウイグル問題の本質は「農耕民族」と「遊牧民族」との戦いなのだ。 「ウイグル人に文明が何たるかを教えたのは漢民族なんだよ」 前回紹介した博物館での式典の夜、ウルムチの漢族政府関係者の1人が酔った勢いで筆者にふと漏らした言葉だ。そこには漢族こそが中華文明の伝道者であるとの強烈な自負が感じ取れる。 今でも中国人にとってウイグル人は「西戎(せいじゅう)」であり、日本人が「東夷」であることを再確認させるような強烈な一言だった。中国の歴史が、漢族という慢性的に人口過剰の農耕民と、周辺の「野蛮」な遊牧諸民族との「生きるための戦い」の歴史であったことをウルムチに来
【北京=野口東秀】中国新疆ウイグル自治区のウルムチで起きた暴動に関し、中国国内で民間人が政権の対応を公然と批判する動きが相次いでいる。言論統制が敷かれる中で、民族問題に対する政府の対応がこれほど表立って批判されるのは異例といえ、当局は民主化勢力の動向に神経をとがらせている。 中国の民主、人権状況の促進を目指す民間団体(北京)の代表、張輝氏(41)は15日、10項目の要求を連ねた声明を発表した。暴動の真相や犠牲者の死因を調査するため、当局の意向を受けない国際人権組織などによる「独立調査委員会」を設置することや、集会、デモの自由を求め、「(中国政府が非難する)民族分裂勢力の範囲を明確にせよ」と訴えている。 「7・5事件の再評価を」と題した胡錦濤国家主席あての書簡をインターネット上で公開したのは、孫文広・元山東大学教授(74)だ。「現地での通信遮断」は「公民の通信の権利を侵す」と批判したうえで、
1991年にソビエト連邦が崩壊した時、ソ連が決して1つの国ではなかったことが突如はっきりした。力によってまとめられた、多くの国から成る帝国だったのだ。我々がいずれ、中国について同じことを言う日が来るのだろうか。 言うまでもなく、そんなことを示唆しようものなら、北京では大きな怒りを買う。中国の政治家は経済運営については、近代的な考えを持った実利主義者だ。だが、こと領土保全の問題になると、毛沢東主義の言葉を使い始める。 彼ら曰く、台湾独立の支持者は「分裂主義者」だ。チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマは「人間の顔と獣の心を持った怪物」と評されたことがある。先週暴動を起こしたイスラム教徒のウイグル民族は、悪意のある外国勢力の手先と非難された。 ソ連が辿った道のりと今の中国 学者のデービッド・シャンボー氏によると、中国人がソ連崩壊の研究から導き出した主な教訓は、「独断的なイデオロギー、揺
中国の新疆ウイグル自治区の区都、ウルムチ市で起きた暴動は1000人以上の死傷者を出す大惨事となった。背景には、先住民のウイグル族と移住してきた漢族との根深い対立、さらにいえば、中国政府が漢族支配を中心に推進してきた少数民族政策のほころびがある。ウイグル問題を検証する。(北京 矢板明夫) ◇ 同自治区は中国北西端に位置し、全土の約6分の1に当たる166万平方キロの広大な面積を持つ。2008年の人口は国全体の2%弱の2100万人余だ。 核施設を抱える戦略拠点で、石油、希少金属など天然資源にも恵まれ、カザフスタンなど中央アジア諸国との石油パイプラインも通る経済の要衝でもある。 1949年の新中国建国までは主な先住民はウイグル族、カザフ族、キルギス族で、政府の移民政策により急増した漢族が今や、自治区人口の40%を超す。 高度成長から取り残されており、2008年の自治区の都市住民の
「胡錦濤が主要8カ国(G8)サミット出席を打ち切って帰国するのは、漢族がウイグル族に反撃し始めたからだ」 7月8日正午、中国共産党幹部で外交を担当してきた知人から、こんな携帯メールを受け取った。5日、新疆ウイグル自治区ウルムチでウイグル族による暴動が起きた(「7・5」事件)。7日には、ウイグル族の行動に不満と怒りを爆発させた漢族が反撃に出た(「7・7」事件)。イタリアを訪問中で、G8首脳サミットに出席予定だった胡錦濤国家主席は異例のドタキャンを決断。それはウイグル情勢が「民族対立」の様相を呈したからにほかならない。 ほぼ同時間、ウイグル族の友人から同じく携帯にメールを受け取った。 「国内メディアの報道は信用するな。自分の頭で考えてくれ。当局はラビアの陰謀だと世論を誘導する気だ。この世に純粋な悪魔などいない」 仮想敵を作り、世論を誘導する 180人以上の死者(中国当局統計)を出した「7・5」
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く