以前このコラムで、中華人民共和国の将来の究極モデルは「シンガポール」か「台湾」ではないかと書いた。中国が何かの拍子に民主化すれば台湾型が、逆に民主化を拒否し続ければシンガポール型が、それぞれ参考になるということだろう。 こう考えたら、次の疑問がわいてきた。同じく成熟した比較的小規模の中華系政権にもかかわらず、なぜ李登輝は民主化を選び、リー・クアンユーは民主制を採用しなかったのだろう。 この問いに対する答えを見つける機会は意外に早くやってきた。今週久しぶりに台湾へのセンチメンタルジャーニーが実現したからだ。今回は最新の台北事情をご紹介しながら、このちょっと気になる疑問を解明してみたい。(文中敬称略) 定着した民主主義