(英エコノミスト誌 2009年5月16日号) アジア経済は、世界的な景気後退からいち早く抜け出しそうだ。 「アジアの虎」と呼ばれる新興国経済は今回の世界的な景気後退局面で、かなり急激な生産縮小に苦しめられている。その輸出依存体質がゆえに、米国と欧州の需要が回復するまでは持続的な回復を見ることはないと心配する向きもある。 しかし、アジアの勇猛な回復力を侮るべきではない。1990年代後半のアジア危機の後、アジア経済は予想外の早さで活力を取り戻した。そして今、再び世界を驚かすかもしれない。 足元の不況は深刻だが・・・ アジア全域において、今回の不況は1998年と同じくらい深刻だ。中国とインドは成長を続けているが、両国を除くアジア新興国経済は2008年第4四半期にGDP(国内総生産) が年率換算で15%も縮小した。 2009年第1四半期のGDP統計を既に公表した国は以下の3カ国のみ。中国
世界経済が戦後最悪の不況に突入する中、これまで堅調を維持してきたASEAN(東南アジア諸国連合)経済も減速を余儀なくされている。昨年9月のリーマン・ショック以降、各国ともに輸出が急減速し始める。昨年12月は輸出の伸び率が軒並み2ケタ減となったため、生産及び輸出の大幅な調整が進んでいる。 こうした状況に対し、ASEAN各国は金融・財政政策を総動員して景気悪化に歯止めをかけようとしている。しかし、「蒸発」とも言うべき世界的な需要の急収縮を埋め合わせすることは容易ではない。 外需依存度の差が命運を決める ASEAN各国が打ち出した景気対策の規模は、GDP(国内総生産)比1.1~4.0%と国により差があるものの、足元の外需の縮小幅が格段に大きいことから、景気対策の規模が各国の成長率に決定的な差をもたらすとは考えにくい。やや乱暴な言い方になるが、短期的な成長率を決めるのは外需依存度と言える。 そこで
(2009年4月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 先週、リー・クアンユー公共政策大学院院長のキショール・マブバニ氏は会話の中でさりげなく、シンガポール経済は今年、最大10%縮小する可能性があると語った。 この驚くべきセリフがまるで付け足しのように口をついて出たのは、アジア人が自分たちの経済・政治制度に対して抱く信頼が、世界を大揺れさせている経済の大地震にも揺らいでいないことを長々と話した後のことだった。 同氏曰く、シンガポールには現金の蓄えが潤沢にある。政府は既に、従業員を雇用し続ける企業に多額の補助金を出している。一部の従業員の労働時間はカットされたが、職を失う人はほとんどいない。それに、シンガポール人には、いざとなれば引き出せる貯蓄もあれば、頼れる親族もいて、補助金を受けた住宅だってある。 深刻な景気後退にも冷静なアジア人 シンガポールにパニックの気配はない。この都市国
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