(英エコノミスト誌 2009年10月31日号) 東欧諸国で、ロシアの軍事演習に対する不安感が広がっている。 不安を煽る騒ぎの発端は、防衛計画と政治が重なり合うところにある。10月に終了した、ロシア西部とベラルーシで行われた大規模な軍事演習は、次のようなありそうもないシナリオに基づいていた。 ベラルーシ西部のポーランド民族が蜂起し、リトアニアの「テロリスト」がロシアの飛び地領カリーニングラードを攻撃してくる。そこで、1万人を超すロシアとベラルーシの軍隊が彼らを迎え撃ち、海からカリーニングラードを補強すると同時に、敵陣の背後に特殊部隊を送り込んだ。 すると今度は、北大西洋条約機構(NATO)のような3つの旅団――1つは外部の軍隊、1つはエストニア軍、1つはラトビア軍――がロシア西部に侵攻してくるが、プスコフに駐屯するえり抜きの第76親衛空挺師団(ロシア空挺軍)と軍用車両に乗ったライフル部隊によ