動物は、群れで生活するか、はぐれて1匹で過ごすか、雌雄のつがいでいるか、社会環境の変化に伴って、行動や生理条件を急速に変える。ヒトも、好みの異性と向き合えば、性ホルモンの分泌が変わり、胸がときめくことは誰もが経験する。しかし、社会環境の違いが脳の中にどのような変化をもたらしているか、は謎だった。 性ホルモンの分泌はかなり込み入っている。脳の深部にある視床下部から生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されて、下垂体に作用して生殖腺刺激ホルモンを放出させ、次いでそれが生殖腺に働きかけて性ホルモンを出させて全身に行き渡らせる。筒井教授は2000年に、生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する別の脳ホルモン(GnIH)を視床下部から発見した。GnRHがアクセル、GnIHがブレーキになって性ホルモンの分泌を調節していることを解明してきた。 研究グループは今回、社会的な環境の変化が瞬時に性ホルモン分
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