ある鏡の中は日曜日、ブックオフ巡りで遅くなってしまい、終電近い電車に乗った日のこと。 吊り革に捕まっていると大きな揺れが。 そのはずみで読んでいたミステリのネタバレをつい座席に座っていたおばさんに言ってしまった。 咄嗟に「あ、すみません、ヴァン・ダインですか」と謝った。 そのおばさんはしばらくこちらの顔を見たあと深呼吸して、「殺戮にいたるやっマーイ!全然ヴァン・ダインじゃないですよ!」ととびきり大きな声を上げた。 その時のおばさんの目といい、法月といい、今思い出してもさむけが走る。 僕は恐怖の中で折原一度、「犯人はシェパード医師でした」と謝った。 でもおばさんは恐ろしいMediumでこちらを睨みつけたまま何も言わない。 模倣の殺意によって少しだけ恐怖心が和らいだ僕は疑問を感じ始めた。 そしてその疑問をおばさんにぶつけてみた。 「カヴァン・ダインをネタバレしたのは申し訳ありませんが、僕それほ