【虐待越えて タエコの40年(1)心の救済】 両親からの虐待、父親の自殺、自閉症児の子育て、認知症の義父の介護…。人生の荒波に次々と遭遇し乗り越えてきた女性が、虐待のない社会を目指して講演活動を始め、壮絶な内容に驚きと共感の輪が広がっている。大阪市中央区でビデオ制作会社を経営する島田妙子さん(40)。虐待の記憶の封印を解いたのは、1つ違いの兄の死だった。「人の役に立ちたい」と願いながら逝った兄の遺志を受け、「虐待をしてしまう大人を助けたい」と、講演で“心の救済”を呼びかけている。 ■「やさしかった父、おかしくなっていった」 「わたしはこれまでの人生で2度、命を落としかけました」 大阪府高槻市の富田ふれあい文化センターで、3月17日開かれた講演会。島田さんがこう切り出すと、補助椅子(いす)まで埋めつくした約150人の聴衆が息をのんだ。 3人兄妹の末っ子で長女の島田さんは、小学2年から中学2年