太田記念美術館きっての人気作品、葛飾応為「吉原格子先之図」の、約3年半ぶりの公開である。その「肉筆浮世絵名品展」(2020年1月11日~2月9日)では、1階の展示室から2階へと上る階段が展覧客であふれるほどの人気だったという。ちょうどコロナ禍が本格化する直前だったのが前回。コロナ禍が一段落し、来客過多によるクラスターの懸念が薄れたからこそ、今回の公開が企画されることになった。 「吉原格子先之図」を描いた応為は、あの葛飾北斎の娘である。「和泉屋」と記された妓楼の店先、艶やかな姿を見せる遊女たちの「張見世」の様子。夜も更けて闇の色が深くなる中で、遊女たちのいる座敷だけは煌々と昼間のような光で包まれている。明暗のコントラストを「まるでレンブラントのように」肉筆で描き出した1枚。江戸時代の絵画としては珍しい光と闇の描写が印象的だ。 格子越しになじみ客(?)と話をする遊女のシルエット、遊女たちの姿を