旅行の始まりは2018年8月末。札幌が大きな地震に見舞われる、ほんの1週間ほど前のことだった。 エコノミー席におとなしく座って暇をつぶしていると、飛行機が着陸態勢に入ったとアナウンスがある。往路の航空会社は初めて使用するAIRDOで、キャッチコピーは「北海道の翼」。羽田空港から就航しているのがとてもありがたい。 成田は、私の自宅からだと遠いのだ。 出発地・羽田空港 ふと、窓から外の景色を見下ろして思った。海がどこまでも昏い。青森県と北海道を分かつ津軽海峡。当時の天気は小雨で、水面を叩く雨粒たちがその印象をさらに深く、得体のしれないものにしていたような気がする。 8月末の関東は例年通りの猛暑だったから、現地の気温の低さには大きな期待が持てた。きっとこれから数日は流れる汗に煩わされず、比較的快適に過ごせるだろう。 母曰く、私は幼少期からこの島の土を何度も踏んだことがあるらしい。自分の中にその記