またリアルタイムで、藤井聡太伝説が生まれる瞬間を見た――。それが固唾を飲んでネット中継を見つめていた将棋ファンの、偽らざる気持ちであろうか。 2019年3月27日。東京・将棋会館において、竜王戦4組ランキング戦3回戦(準々決勝)の▲中田宏樹八段(54歳)-△藤井聡太七段(16歳)戦がおこなわれた。 藤井は今年度ここまで44勝8敗(未放映のテレビ棋戦の対局を含む)。中原誠16世名人が1967年度に記録した47勝8敗(勝率0.855)にはわずかに届かないものの、前年に続いて、圧倒的な高勝率をマークしていた。竜王戦ランキング戦はこれまで6組、5組と連続優勝。4組もここまで2連勝で勝ち進んでいる。 対する中田は、王位戦七番勝負に挑戦者として登場したこともある実力者。言うまでもなく、強敵である。 ▲中田宏樹八段-△藤井聡太七段戦は相矢倉となった。中盤から終盤にかけては、先手の中田が見事な指し回しを見