新興宗教の儀礼の中には、一般的には理解されにくいものもある。それらには実際どような意味があるのか、慶應義塾大学准教授の樫尾直樹氏が解説する。 * * * 新宗教の信者は早朝駅前で掃除しているという話をよく聞くだろう。通常、奉仕活動の一環である掃除は、儀礼とは言わないかもしれない。とはいえ、「行」は定められた身体実践を反復、継続する(例えば座禅を組むなど)ことによって自己と向き合うことである。だとすれば、ゴミを拾い続ける清掃活動も広い意味では儀礼であり、「行」だと言える。 実は、多くの新宗教団体にとって掃除は定番の「行」であり、大半の教団が実践している。教団にとって掃除の意義とは、信者の精神を向上させること。すなわち、己の魂を磨くことにある。掃除を通して、自分の心を清めるのだ。 私は真如苑の早朝清掃奉仕の体験取材をしたことがある。早朝5時半頃から真如苑の本部がある立川駅前でゴミを拾っ