織田信長が天下をとって琵琶湖畔に築城された「安土城」は、信長の終わりと共に焼失し、幻の城と言われる。 当時としては考えられない巨大な安土城は、日本史上、はじめて高層の天守を持ち、城全体が高石垣で覆われた石の要塞であった。 しかし、期間が10年と短く、資料がほとんど残っていないために幻と言われた。それでも、当時の城を観覧した宣教師が記録を残していたため、絢爛豪華な姿は、遠くヨーロッパにまで伝わっているという。 お城などを観ると、昔の人は巨大な石をどうやって運んで積み上げたのだろうと思っても、想像することは難しかった。 それを山本兼一さんは、「火天の城」で築城のすべてを見事に書きあげている。 主人公は信長に安土城築城を命じられた大工棟梁の岡部又右衛門と、熟練の大工や石垣職人など匠たち。その命がけの仕事ぶりは、築城のすべてが目に浮かぶ臨場感だ。 無謀な命令、難題に、多くの職人たちが命を落とす。当
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