今年もいよいよ暮れていく。 何も終わっていないかのように、 何かが示されないままに。 これからしばし「フクシマ」以降の問題を とびとびに番外録してみようと思う。 ただし一冊をじっくり採り上げるというより、 気になる本を数冊ずつ案内したい。 しかし「フクシマ」以降とは、 実は「フクシマ」以前の日本問題なのである。 そこで、まずは本書から入ることにした。 原発シプシー堀江邦夫と水木しげるによる 32年前の文章と原発絵を再現した本だ。 加えて、山岡俊介の福島原発潜入記を紹介する。 ◆堀江邦夫・水木しげる『福島原発の闇』(2011.8 朝日新聞出版) この本には驚いた。32年前の「アサヒグラフ」の記事と絵が復元されたのだ。復元にあたってはさすがに当時の大判グラフ誌のままではなく(アサグラは日本一大きなグラフメディアだった)、手に取りやすいA5判の一冊になってはいるが、中身はまるごと当時のものだ。
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