人間は、いろいろな感覚において、常に差を取り続けて生きています。動きが見えるのも、音楽が聴けるのも、物語を感じるのも、すべて差をとった結果なのです。差を取って初めて、それが可能になるのです。 この本では、静止画の組をたくさん開発・制作し、それを1組1組、読者の方に視覚情報として呈示します。そして、読者の方が、それらの図像の差分を取ったときに、ある新しい表象(=あじわったことのない気持ち)が生まれることをまず一番の大きな目的とし、その後でそれがどういう意味を持つのかということを鑑賞してもらうことを次の目的としています。 2〜5枚の絵を続けて見たときに、 ふいに立ち上がる我々内部の得体の知れない表象。 1頁1頁、じっくりご覧になり、また読み進めていってほしいと思います。 いっしょに研究し制作したのは、慶應大学の佐藤研の研究員だった石川将也と菅俊一です。3人で、この4年間、毎週毎週かかさず集まり