動物ショーやテレビ番組に出演するチンパンジー・パンくんの映像作品を用いて、パンくんの感情表出についての分析を行った。映像作品でのパンくんは、着衣で二足歩行を行うことが多く、自然なチンパンジーの姿とは大きく異なっていた。テレビ番組用の映像と動物ショーの本番の映像では、それ以外の動物園などでの映像と比べて、チンパンジー本来の姿とのズレが大きく、感情表出に関しては、ポジティブな笑顔や笑いの表出よりも、恐怖・不安・不満といったネガティブな表出が多い傾向があった。とくにテレビ番組では、パンくんに試練を課し、不安やストレスを与えるシーンもしばしば見られた。このようなパンくん自身の感情表出以外に、テロップ、ナレーションや、チンパンジーの音声の追加によって、パンくんの感情を演出または改変する場面もあった。以上の結果を元に、ショーやテレビにチンパンジーが出演することの問題点について議論した。また、動物の福祉