辻元さんは一貫して「先進国における継続的な経済成長は最早あり得ず、従って日本が国策の基本に『経済成長』を据えているのは馬鹿げている」と説いておられるが、私も基本的には同じ考えだ。日本は別にゼロ成長でも構わない。もっとも、膨大な国債の発行残を抱えているので、これ以上の国債の発行は抑える一方で、経常収支の黒字を定着させて、国債金利を国内でコントロール出来るようにしておく事だけは、財政破綻を防ぐ為にどうしても必要だと思う。 「ゼロ成長では、働いている人たちの収入が増えず、従って生活の質が向上せず、国民は希望を持てなくなる」という人がいるが、私はそうは思わない。現在の日本は物質的にはかなり豊かで、若者の関心も、最早「物質的な欲求の充足」より「周囲の人たちとのより緊密な繋がり」の方に向いている。また、現在の国民の不安は、老いも若きも、主として「失業」「格差」「社会からの疎外」「老後の不安」等にあると