<日本経済が良くないという記事を書けば、一部から、常軌を逸した批判もあった昨年。数字と日々向き合って経済を分析している人間にとっては、「2018年に賃金が大幅に上昇」というのは、どうもおかしな話だったのだが...> 毎月勤労統計の不正をめぐり、厚生労働省が公表していた2018年1~11月期の実質賃金の伸び率が大半の月でマイナスになっていることが明らかとなった。2018年の賃金が大幅に伸びているという話はウソだったことになる。 統計は近代民主国家における礎であり、統計が信用できなくなったら国家としては終わりである。その意味で、今回の不正統計は極めて深刻な問題だと筆者は考えているが、今回、取り上げるのは少し違った視点の話である。 多くの専門家が首をかしげていた 厚生労働省は、毎月勤労統計調査において、本来、全数調査すべき東京都の事業者について勝手にサンプル調査に切り替え、しかもその補正を怠って