私立中学校への進学率が高い東京・世田谷区に、「越境してでも行きたい」と人気の公立中がある。区立桜丘中学校だ。かつては歴代の校長が「一日でも早く異動したい」と嘆息するほど荒れた学校だったが、2010年に現在の西郷孝彦校長(64才)が就任し、以後足かけ9年を費やし、自由にして多様な学校をつくり上げた。 納得のいかない校則の一つひとつを検証し、ついには全廃してしまったが、そんな西郷校長が何をおいても優先して守るよりどころがある。 「それは“生徒が3年間楽しく過ごせる学校にする”という目標です。校則がないのも、実はその目標が先にあり、“校則があると楽しくないよね。だったらなくしちゃえ”となったわけです。 授業にいろいろな工夫をしているのも、“勉強ができないと、学校が楽しくないし、高校受験も大変だよね。だったら学力のつく授業を採り入れよう”と逆算して考えていった結果です。桜丘中学の取り組みは、学校が