「働く人のうつ」は、なかなか治らない。薬を飲んでも、認知行動療法を受けても治らない。脳を磁気で刺激しても、休職しても、生活習慣を整えても治らない。リワークに参加しても治らない。これらはいずれも無意味ではなく、一定の効果はある。それでも治らない。 なぜか? 実は、治らないのには、理由がある。治らなくて当然である。それは、治すべき病気がそこにないからである。「働く人のうつ」は、「うつ病」ではない。「うつ病」ではないのだから、うつ病の治療をしても治るはずがない。 「うつ病」ではなく「バーンアウト」 日本では「働く人のうつ」を「うつ病」と見なしがちだが、海外、とりわけ英語圏なら「バーンアウト」(燃え尽き症候群)と呼ぶであろう。これは単なる呼称の問題ではない。前者なら治療の対象になるが、後者なら働き方、働かせ方の問題となる。この違いは決定的である。 カリフォルニア大学バークレー校の名誉教授で、バーン
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