公文書保存 「記憶より記録」の重み 東日本大震災後、釜石市で公文書レスキューに携わった青木睦・国文学研究資料館准教授は印象的な光景を目にした。それは、新聞を保管した段ボールに書かれた文字。「捨てるな!」「記憶より記録」と記されていた。 「記憶より記録」。これは、公文書保存にとってもキーワードと言える。 青木准教授は、いわて高等教育コンソーシアムが「資料保存と救済」をテーマに盛岡で開いたシンポジウムにパネリストとして参加。「公文書は職員のものではない。住民のものであり、生きた証し。岩手にとって地域復興に欠かせない行政上の基礎資料となる」と力説した。 作成は行政の務めだが、公文書の価値は住民にとってこそ。その価値は、いつ、どこで生じるか分からない。すべてを対象に保存するのは物理的に無理だが、選別して残す意義は大きい。特に、震災・復興に関する文書は、日本や世界共通の財産となる。 公文書保存は情報