見出し語、漢字表記、品詞表示と来れば、次は、語釈、つまり意味の説明です。語釈は、どの国語辞典もふつうの日本語で書いてあり、読むのにそう困ることはないはずです。 ただし、中には、語釈を限られたスペースに収めるため、括弧の使い方に独特の意味を持たせている国語辞典もあります。そういう辞書を使う人は、括弧の意味を知っておくと、説明がいっそうはっきり分かるようになります。 括弧に特別の意味を持たせている国語辞典の代表は、『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』(三省堂)、それに『学研現代新国語辞典』です。この3つの辞書に共通する部分に焦点を当ててみます。 まず、『三省堂』の「願文」「近郷」を比べると、括弧の使い方に違いがあります。 〈願文 〔神仏にささげる〕願いごとを書いた文。〉 〈近郷 (都会の)近くの いなか。〉 語釈の冒頭に注意してください。前者には〔 〕(亀甲括弧)が、後者には( )(丸括弧)が