● 任意の字体を表示させる手段としての異体字シーケンス 第2部第8回で異体字シーケンスの一番の肝は「従来は包摂されていた字体を区別可能にするところ」と書いた。つまり従来の異体字シーケンスに対応しない環境では、フォントを切り替えれば包摂の範囲内で字体が変わっても仕方なかったのを、これを使うことによって強制的に任意の字体を表示させることができる。しかもこれに対応した環境同士ならば、そうした区別を保持したままプレーンテキストによる情報交換をし、そのままの字体で表示が可能だ。UTS#37では以下のような例を挙げ、異体字シーケンスを使えば「芦」という漢字の異なる2つの字体を使い分けられると説明している(図1)。 ここまで何回も例に挙げた「箸」の場合でいえば、前回述べたようにフォントを切り替えると点つきになったり点なしになったりしてしまうのが現状だった。これが異体字シーケンスを使うことで、表外漢字字体