日本民話の会編 『怖いうわさ不思議なはなし<現代の異界> 』 童心社 1993.11.15 〔原題 :「民話にみる異界 」 〕 はじめに 異界の見えにくくなった、いや、すべてが透明化されて異界が定位できる場所の少なくなってしまった現代においても、やはり、向こう側の世界とそこから訪れる者たちへの幻想はすっかり消えてしまったわけではない。たとえば、常光徹『学校の怪談』(一九九三年、ミネルヴァ書房)は、学校という子どもたちの生活空間におけるトイレや特別教室のもつ異界性をみごとに浮かび上がらせている。水洗式となって下方に闇の空間をもたず、明るい照明が当てられタイルやコンクリートで囲まれた安全・快適な空間であるはずのトイレに怪談が集中するのは、常光氏も指摘するように、そこが、陰部の露出をともなう孤立した空間であることによって潜在的な不安を誘い出すからであり、またそこは、子どもたちにとって「学校の
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