人名用漢字の新字旧字:「曽」と「曾」で札幌高等裁判所平成15年6月18日決定(平15(ラ)56号)に触れたが、実はこの決定における「事実認定」には、人名用漢字にとってかなり大きな問題があった。問題の部分を、以下に引用しよう。 「曽」の字と同様に使用される字として「曾」という字がある。この両者は、常用漢字(1945字)とともに使われることが比較的多い表外漢字(1022字)とされ、「曽」の字は表外漢字の簡易慣用字体、「曾」の字は表外漢字の印刷標準字体とされているもので、この両者の差異は、いわば、デザインにおける差異であって、「曽」の字が「曾」の字の俗字であるというものではない。 つまり、「曽」と「曾」がデザイン差である、と判示しているのである。しかも札幌高裁決定のこの部分は、最高裁判所平成15年12月25日決定(平15(許)37号)においても覆されなかったので、つまりは最高裁決定においても、「