文字のかたちのよりどころ、「見えない文字(字体)」をあぶり出すユニークな発想。文字のかたちを楽しむ本。目次:「ツ」のような「シ」の正体/ギャル文字が教えてくれること/漱石は誤字ばかり書いたのか/くずし字にも字体はあるのか/「子ブタの貯金箱」の説明書を書いたのは誰だ/他 8章。 本書執筆のきっかけはいろいろありますが、一つは、2010年12月の早稲田大学での『早稲田日本語研究』創刊20周年記念シンポジウムです。私は、光栄なことにパネリスト3人のうちの一人として声をかけていただきました。日本語研究の面白さを、「正しい」日本語と現実の日本語というテーマで少し話してほしいといわれ、これまで大学で講義してきたことなどをかき集め、「聞こえない音、見えない文字、気づかないことばのきまり」と題してお話ししました。ところが、この機会に話しておきたいということがたくさんあり、恥ずかしいことに予定の時間を超過し