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この「マガジン航」の読者の方であれば、「『電子図書館』は出版業界と共存できるか」(IT Media News 4月23日掲載)という熱い見出しの記事をすでに読んだかもしれません。国立国会図書館が進める大規模デジタル化構想に対して、日本の出版業界からの否定的な反応が見られるようになってきました。 議論が巻き起こること自体は、もちろん歓迎すべきことです。ただ、やはり様々な懸念も抱きます。その様々な懸念の中でも、上で紹介したような記事を読むと、たとえば1990年代に出版業界から巻き起こった「図書館=無料貸本屋」という議論を思い出します。 このときに起きた議論については、田村俊作、小川俊彦編『公共図書館の論点整理』(勁草書房、2008年、2520円)に収められている安井一徳著「『無料貸本屋』論」によくまとまっていますが、あえてまとめれば、図書館による貸出が出版業界の売上の阻害要因になっているのでは
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滅亡か、復権か 「大規模デジタル化時代と本の可能性」と題したシンポジウムが、来る4月14日(水)の午後に開催される。催しのタイトルは、正式には東京都古書籍商業協同組合創立90周年記念 日本の古本屋シンポジウム「滅亡か、復権か-大規模デジタル化時代と本の可能性」というずいぶんと長いものだ。開催場所は古書の町である神田神保町。この催しについて、協賛し実際の企画にあたった立場から、なぜいま古書の業界が、「滅亡か、復権か」というタイトルを掲げたシンポジウムを開催するのか、その狙いを紹介しておきたい。 古書業界では年に1回、古書業界の全国組織である全国古書籍商組合連合会(全古書連)による大規模な「市」を行っている。組織名を略して全連大市会と呼ぶこの市が、今年は東京で開かれる。2010年は、本シンポジウムの主催者である東京都古書籍商業協同組合(東京古書組合)が設立されて90年目を迎える年だという。書店
本の未来を論じる上で避けては通れないものの一つが、図書館の役割だろう。さて、その図書館のうち、とくに図書館システムと呼ばれる、図書館が保有する資料を総合的に管理するシステムについて、昨今の日本国内の動向を紹介したい。 図書館システムの惨憺たる現状 一般に図書館システムと言った場合、利用者の立場からすれば、図書館内にある蔵書検索端末を思い浮かべるだろう。これは図書館業界においてはOPAC(Online Public Access Catalogue)と呼ばれており、最近ではOPACをウェブ上で公開する図書館も増えている。ちなみに慶應義塾大学の上田修一教授の調査によれば、2009年3月31日時点で749ある大学図書館のうち、81.6%にあたる611館がウェブでOPACを公開している(ウェブOPAC)。 また、 日本図書館協会の調べでは、2009年12月時点で全国の公共図書館(都道府県立、市区町
2009年10月29日。平日の木曜の夜という決して条件の良い時間ではない中、日本全国12都市で図書館関係者が同時多発的に集う大イベントがあったことをご存知だろうか。イベントの名称は「全国図書館大会U40プレミアセッション」。集ったのは実に全国で330名。 一口に図書館関係者といっても図書館で働くライブラリアンだけが集ったのではない。書店や取次、出版社といった図書館が資料として収める書籍や雑誌の作り手もいれば、図書館システムや図書館用備品を収める図書館関連企業の社員もいる。図書館情報学を学ぶ学生・院生もいれば、素晴らしいことに図書館の利用者も参加者に含まれていた。開催都市は北から山形、仙台、新潟、水戸、東京、名古屋、三重、京都、大阪、岡山、福岡、沖縄の全国12都市。集ったのは、主に40歳以下の図書館関係者である。 ちなみに会場別にみると、参加者数は、山形(12名)、仙台(17名)、新潟(8名
■図書館総合展への招待 図書館総合展をご存知だろうか。今年で11回目を数える図書館総合展は、文字通り図書館に関する総合的な展覧会である。例年3日間の会期中に2万人が訪れるというこの図書館総合展は、実はみなとみらい地区のパシフィコ横浜で開催されている。「○○展」と聞くと、「ああ、東京ビッグサイトや東京国際フォーラムあたりでよくやっているあれね」と、ちょっとつまらなそうに感じるかもしれない。だが、心配はいらない。 図書館総合展 確かに「展」とつく以上、この図書館総合展も約170社による展示やデモが予定されている。だが、それだけに留まらないのが、2万人もの人が押し寄せる理由なのだろう。図書館総合展では、フォーラムやミニ・フォーラムという名の講演会や討論会が実に70件以上も予定されている。会場への入場は無料。ただし、一部のフォーラムは500円から1,000円程度の参加費を徴収するものもある。 もち
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