「変態!」 「目立ちたがり屋!」 突然のカミングアウトに、著者の妻は罵る。罵りまくる。驚きは隠せないだろう。楽しい外食中に夫から「ガーターフリーのストッキングを履いている」と告げられたら。若くしてテレビ業界で成功して名声と富を得た夫がいきなりストッキングを履いて興奮している姿は、地獄絵図である。 だが、ストッキングを履くことは著者の壮大な実験の序章に過ぎない。化粧をして、女性らしい歩き方の講習を受け、挙句の果てに人口乳房の重さを熟慮する。 「あなた本当におかしくなったの?私が結婚したのは男よ、女じゃないわ!」 「もう、やめて!」 「私に満足していないの?」。 妻の叫びは悲痛なものになっていくが、著者は実験をやめるどころか、のめりこんでいく。 本書は自己啓発系の本を多く手がけている出版社から刊行されており、「女装して自己啓発しちゃいましょう!」というファンキーな内容を予想したのだが、見事に期