(2011年8月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 米国の経済政策については、有効な選択肢などもう残っていないという誤解が流布している。財政政策は撃ち尽くした。金利はゼロで、バランスシートが既に限界まで膨らんでいるため、米連邦準備理事会(FRB)も無力だ。先日改定された国内総生産(GDP)統計からは、景気の回復が衰えつつある様子がうかがえる。もう誰にも打つ手はない、というわけだ。 「もう打つ手はない」のウソ この見方は間違っている。その気になれば、政策当局はまだまだ対策を講じることができる。向こう数カ月間は、FRBが気概を示すことが特に重要だ。ただ、この指摘はほかにも広く当てはまる。米国の政策の効果を低下させてきたのは経済ではなく政治だからだ。 米国の人々は、2009年の景気刺激策は失敗だったと考えており、長期的な公的債務について不安を募らせている。景気後退がまだ続いている一方で、「