子どもを授かったが会う時間すらなく、疲弊していた勤務医だった本間けいさんは、医療専門書ではない『人生最適化思考』という著書を刊行した。医師が人生の最適化(デフラグ)を説く? ――そこに至るには、自分の人生をまったくカジ取りできなかったことから脱却を図った思い切った行動があった。 30代・働き盛りの勤務医の苦悩 僕と妻は医師である。子供は3人。まだ幼い。 妻の妊娠前は微塵も考えたことはなかったが、子育てを通して、夫婦2人が共に医師として働き続ける事がいかに難しいのか、様々な点から気付かされた。ああ、僕たちはとても非力で矮小な存在だ、とつくづく自覚した。 なぜ、そういう風に感じるのか、まずは、医師の多忙な生活を説明していかなければならないだろう。 僕も妻も、大学病院で臨床をしながら、大学院生として研究も行っていた。大学院に入ると、「ベッドフリー」と言い、外来や手術、入院患者の診察といった臨床業