五輪出場経験もあり、指導者としても活躍する為末さんは、「昔は、競う五輪・参加するパラリンピックといわれていたが、今はパラリンピックも競争が激しくなってきた」と話す。走り幅跳びの世界では、義足を着けたドイツのマルクス・レーム選手が世界選手権で8メートル40センチの記録を出したことがあるが、これはリオ五輪優勝者の記録を2センチ上回るもので、一部では「テクニカル・ドーピングではないか」と物議を醸していた。 これに対し為末さんは、「賛否は半々くらい。例えば、走り幅跳びでは(生身の)足首がないと加速に不利だが、ジャンプの瞬間は(義足の)カーボン繊維の反発で有利に働く」とし、「器具には人間を助ける役割があるが、人間に負荷を掛ける側面もある。負荷を掛けて人体の可能性を引き出すこともあり得る」と違う見方を提示する。 「義足選手の走り幅跳びの練習を見ると、健常者の選手と手の使い方が異なり、少し違う飛び方を体