統計学の考え方は、混沌とした複雑社会を読み解く強力な武器になる。身近なところでは、迷惑メール(スパム)の撃退に、主観的な確率を駆使したベイズ統計学が活用されている。送られたメール文の中に「交際」「援助」「恋愛」などのキーワードがどれくらい含まれるかを数え、スパムかどうかの確率をはじき出すのである。こうした過去のデータをもとに、将来を科学的に予測する統計学の手法は、今やビジネスの世界では不可欠な道具でもある。 新たなデータ野球「セイバーメトリクス」 スポーツの世界も例外ではない。その端的な例が、野球である。戦略、選手の潜在能力査定、活躍の予測などに広く統計学の手法が応用され始めている。「セイバーメトリクス」というデータ分析法である。 データを駆使した科学的な野球と言えば、野村克也前楽天監督がヤクルト時代に導入したID野球が有名だが、セイバーメトリクスは、これをはるかに上回る興味深い視点を提供