社会のグローバル化や不景気の影響により、年功序列、終身雇用といった日本独特の平等主義から、欧米型の能力主義、成果主義へと変革をめざす企業はめずらしくなくなった。入社シーズンのこの時期、そのプレッシャーから不安を感じている新入社員も少なくないだろう。だが実際のところ、そういった雇用形態で成功しているケースはどれほどあるのだろうか? 変えたくても変えられない日本独特の社会構造を、社会人類学の視点で分析した中根千枝氏の『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』(講談社現代新書)を読むと、事はそう単純な話ではないことがよくわかる。この本が、発売から50年経った今も売れ続けて117万部のロングセラーになっていることも、それだけ多くの共感を呼んでいる証といえるだろう。 ■個人の属性の「資格」より所属する「場」に偏っている集団意識 本書で中根氏はまずこう述べている。社会集団を構成する要因を「資格」と「場」の
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