『商人道ノススメ』はおすすめできません:枝葉の批判 (2009/08/06, 8/11追記) 山形浩生 要約:松尾『商人道ノススメ』は、まず商人道なるものがあまりに一般的すぎ、実はそれと対比される武士道と具体的な中身は似たり寄ったり。目新しいところがまったくない。そして批判の対象となる身内主義や「大義名分/逸脱の仕組み」は、多くの事例でうまく機能して成功してきた。それをまったく無視して、「ある制度はだめ! これからはこっちの制度!」とやるのは、構造改革論者やグローバルスタンダード崇拝者やその否定論者と同じでは? そしてその論証の薄さは、本書が実は商人道の主張よりはプロパガンダを重視している本だということを示している。 目次 序 「商人道」と「武士道」の中身とは? 「ナントカ主義と経済発展」みたいな議論の危うさ 身内主義って本当にダメですか? いまの社会がすでに開放個人主義って本当? 「大義