第1話「職人」 カメラマン、編集者、アートディレクターが「あの人が見てくれるなら・・・」と絶大な信頼を寄せるプリンティングディレクターがいる。凸版印刷が誇るその「職人」の名は甲州博行、69歳。今回のクリエイターズファイルは製版一筋にキャリアを重ねてきた「職人、甲州博行」と、彼とコンビを組み、数々の仕事を共に手掛けてきた井上優の生の声をお届けする。 のびのびと遊び育った少年時代 甲州 私は東京都の北区で生まれ、今、勤務している凸版印刷板橋工場のすぐそばで育ちました。 子どもの頃はとにかく外で泥だらけになって遊んでいましたね。 あまり勉強したという記憶はないんですが、絵を描くことは好きでしたね。小学校3年の時に、授業で外に写生に行ったら、どういうわけかその絵が褒められまして、それからいっぺんに絵が好きになったんです。 陸上競技との出会い 甲州 中学校はスポーツが盛んな学校で、いろいろな