→紀伊國屋ウェブストアで購入 「哲学と言語学の幸福な対話」 今年は現代言語学の祖フェルディナン・ド・ソシュールの没後百年。大学で言語学を勉強したわけではないけど、『一般言語学講義』を読むゼミに参加したのは楽しい体験だった。担当の先生がよく言っていたが、そもそも言語とは何かということを、同じその言語で語るということが、どうしてもむずかしい。ソシュールはその問いのまわりをぐるぐる回って、結局自分では「一般言語学」の構想を完成させることができなかった。没後に弟子たちがまとめた(恣意的な編集を多数含む)講義録が二十世紀の思想に多大な影響を与えるわけだが、百年たってもソシュールが立ち止まったところに何か大切なものがあるような気がする。 本の世界から見ると、言語は面白い対象なのに、「言語学」の本というと、ますますマニアックな、大学で習わない限りは縁遠いものになっていそうなのが残念だ。ソシュールは思想に