今回は、劇作家の平田オリザさん著「わかりあえないことから -コミュニケーション能力とは何か」(講談社現代新書)を紹介します。 僕がこの本を手に取った理由は、自分の圧倒的なコミュ力の無さを改善したいと常々切望していたのだ!ということではなく、単純に、「わかりあえないこと」という一見するとネガティブフレーズにも映る書名が目に止まったからに過ぎない。 加えてページを繰れば、「コミュニケーション」を、「演劇」という観点から捉え、関係させ、そして役立たせているという内容が書かれてあると分かった点も、僕を扇情的にさせる要因となった。 結果から言えばとても面白かった。 この本は決して、コミュニケーション能力が必須!と言われている昨今に倣って、早々にコミュ障から脱却して高いコミュ力を身につけよ!という自己啓発本ではない。 そうではなく、「コミュニケーション能力」などと大上段に構えることをせず、そんなに肩肘