読書の楽しみ、とりわけ小説を読む楽しみが、 人生をいかに豊かなものにしてくれるか── それを知らない若者たちが増えています。 ゲームやビデオ、インターネットなど……楽しみの選択肢は飛躍的に増えました。 たしかに映画や音楽、美術や演劇も人生を豊かにしてくれます。 しかし、文学は文学にしかなしえないやりかたで、感じさせ、考えさせ、 ひとそれぞれの人生と精神に深く関わってきました。 ただ、だれもが生まれながらにして「読者」ではありません。 だれにとっても最初の一歩を踏み出したときがあったはずです。 その歩みを続けることによって、良き「読者」になってゆくのです。 その道は、かつてよりもはるかに見つけにくく、険しいものかもしれません。 だからこそ、いま、道しるべとなるものが必要なのかもしれない、と考えました。 「はじめての文学」はそうした最初の一歩を踏み出すための一冊であり、 良き道しるべでありたい