「人と違ってもいい」勇気 脳を知ろうとすることは、「人間とは何か」という問いに対する答えを模索することである。脳をどう見るかで、人間観が問われる。 近年の脳科学の研究が明らかにしてきたのは、脳は多様性を秘めた存在だということ。頭の良し悪しなど、単純に割り切れるものではない。ジャングルの中にさまざまな生きものが根付くように、脳の中にも多様な能力が潜んでいる。他の人との比較で一喜一憂するのではなくて、自分の脳のユニークさを生かせるようになるのが理想である。 映画『レインマン』で一般的にも知られるようになった、「サヴァン能力」。複雑な計算を瞬時にこなしたり、電話帳の番号を全て覚えてしまうといった驚異的な能力を示す一方で、人間関係を苦手とする。人間の脳に潜在する能力とその多様性を示す事例として、近年、研究者の間で注目されてきた。 本書は、その驚異の能力がイギリスやアメリカのテレビ番組で放送され、