現場で取材を重ねていると“発達障害”という言葉だけがひとり歩きし、実態理解や指導・支援方法について、教師も行政も福祉・就労関係者もまだまだ誤解している面が多いことを痛感します。 たとえば、LD(学習障害)は「読むのが苦手」「書くのが苦手」「計算が苦手」、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は「落ち着きがない」「衝動性が強い」「注意集中に欠ける」、アスペルガー症候群は「対人関係が苦手」「人の気持ちや、皮肉・冗談を理解するのが苦手」などと、ステレオタイプにとらえている人が少なくありません。 でも、障害名が同じだからといって、みんながみんな同じ状態を示すわけでもないのが発達障害です。同じ個人でさえ「置かれている環境」や「年齢」によって抱える課題のしんどさに違いが出ます。 ADHD傾向のある少年は思ったことを後先考えず口にし、衝動的に行動するため友達と衝突してばかり。授業中もじっとできないし、忘れ物も