◇認知症専門 厳しい採算 大阪市が直営する認知症専門の医療・介護施設「弘済院」(吹田市)が、独立行政法人化を目指すことになった。市は当初、「民間でできることは民間へ」とする橋下市長の意向で、広大な土地・建物を売却して民間資本に引き継いでもらう計画を立てたものの、市場調査で不採算性を指摘する声が相次ぎ、構想は頓挫。市議会でも問題化し、市は公的な性格の強い独法化に方針転換するつもりだが、赤字事業だけに課題も多い。(木下敦子) ■皇室とのゆかり 大阪市営の施設でありながら吹田市にある弘済院は、約13万平方メートルの広大な敷地に付属病院(90床)と養護老人ホーム、二つの特別養護老人ホーム(第1、第2特養)がある。 その歴史は古く、明治後期に大阪市内で起きた大火に対する皇室からの下賜金などを基金として、1912年に設立された財団法人「弘済会」が前身。「弘済」の名称は、下賜の勅語の中の「施薬施療以(も