もう数年前、学生だったときに自分が通っていた大学がドラマのロケ地に選ばれて、撮影のエキストラを学内で募集していた。 興味本位から自分もエキストラに応募した。当日は一般学生の使用を禁止し、いつものキャンバスに撮影スタッフが大勢来ていて、なんだかドキドキした。 エキストラはキャンバスの中の通行人役で、シーンに合わせて何度も同じことをやる必要があり、思った以上に大変だった。撮影が4時間ほどすぎ、小休止の時間がとられた。自分は喫煙者だったので、近くの喫煙所に行った。喫煙所にはすでに1人の男性がタバコを吸っていた。 自分もタバコを吸いながら、何気なく話しかけた。 「いやー、撮影って大変ですね」 「今日はちょっと押してますね」 「よくエキストラには参加するんですか?」 「いえ、エキストラではないのですが、ドラマの仕事をしています」 「へー、そうなんですね」 そんなたわいもない話をし、休憩時間が終わった