現実の男の人が恐ろしい、という感情を、いつから抱くようになったのだろう。 小学校以前、男子と女子の境は、これといってなかったような気がする。 むしろ三人のいとこと共に育った私は、どちらかといえば男の子のほうが、近しい生きものだと思っていた。かけっこや木登りもしたし、保育園の休み時間には活発に遊んだ。おえかきも好きだったけれど、おゆうぎしつが使える時には、そちらへ行った。ずっと教室にこもって遊ぶ女の子たちのことは、少し軽蔑さえしていた。 小学校に入学すると、少し雰囲気が変わった。男子と女子がふたりきりで帰ることは、おかしいことになった。あからさまにおかしい、と明言することは誰もしなかったけれど、やはり、少しだけ雰囲気は変わっていたのだ。 私にとって、小学校低学年の男子と女子の性差なんてないも同然だった。プールの時間に、全員が一緒の教室で着替えていた。ませた女子はきゃあきゃあと騒いでいたけれど