数日前、なんだか妙に顔がだるかった。 「顔が疲れて見える」ではなく、文字通りの「顔が疲れている」状態で、表情筋を動かすのが面倒に思えた。そのまま放っておいたら、無表情ののっぺり顔で一生を送らなければいけないような気がして、私は意識的に顔を動かすことにした。人前だと阿呆な人に思われること間違いないので、夜にこっそり寝室で行った。あいうえおを表情豊かに言ってみたり、頬を上下に動かしてみたり、揉みほぐしたり、眉毛を上げたり下げたり、鼻を膨らませたり、ペコちゃんスマイルをしたり。私の顔は大忙しだった。気にかけて顔の体操をしたのはたかだか3日くらいだったのだが、知らぬうちに顔のだるさはなくなっていた。 先日、スーパーで買い物をし終えて通路を歩いていると、右手に化粧品売り場が見えてきた。化粧品売り場の壁や棚には綺麗な女優さんやモデルさんのポスターがたくさん貼ってあった。色とりどりの化粧品によって美しく